まるで紙のような感覚でメモを取れるデバイス「Noteslate」が話題となって5年弱。ついに製品が出荷される運びとなった。価格は通常版「Noteslate SHIRO (Regular Edition)」、999台限定でカスタム刻印およびシリアル番号が入った「Noteslate SHIRO (Signature Edition)」共に199ドル。すでに予約販売を開始しており、日本でも購入可能。出荷時期は限定版が2016年2月、通常版が3月を予定している。
実現不能と評され
2011年初頭に発表された「Noteslate」の仕様は夢のようだった。A4サイズの電子ペーパーに、紙のように書き込むことができ、ファイルとして保存・送信が可能。重量は280gで、バッテリーは150時間もつという。本気で “手描き” に革命をおこそうという意気込みすら感じさせられた。
ただ、発売予定の2011年6月になっても何の動きもない。ブリジストン製の電子ペーパーブランドAeroBeeを採用すると発表があり、日本のブリジストンに確認するものの「そんな事実はない」という。
結局のところ、Noteslateには実現する能力はない、モックアップだけ制作して終わりという評判が広まり、時間の経過と共に忘れ去られていった。
製品はホンモノか?
4年半の沈黙から明るみに出た製品版は、当初のモックアップのおよそ半分のサイズ 126mm x 175mm x 10mm = 6.7インチのタブレットで、価格は倍の199ドル。ディスプレイは白黒の電子ペーパーで、一度充電すれば3週間は使い続けられる。一見するとKindleやKoboといった電子書籍端末のようだが、あくまで描くことにフォーカスした端末だ。

2015年10月時点のプロトタイプ
www.noteslate.com/プロトタイプの筐体は華奢に見えるがマグネシウムで作られており、バックライトも搭載、もちろんWi-FiやBluetoothにも対応している。本体のメモリは8GBだが、SDカードを挿入すれば32GBまで拡張できる。重量は240g以下ということなので、常に持ち運んでいても気にならないだろう。
入力は付属しているスタイラス(筆圧感知)だけでなく手でも可能。16階調のグレースケールで表現することができる上、入力面は紙と同じような触感にするこだわりよう。
ただ、今やiPadや高性能Androidタブレット、Surfaceなども普及する時代。手描き入力にこだわった「Noteslate」はどこまで受け入れられるのだろうか。
スラスラ 描ける
iPadやSurfaceの手描き機能を専用のペンなどを組み合わせてテストすると、いずれもこの数年でかなりの精度と描画の美しさになっているのは体験した人なら誰でもみとめるところ。ただ、あくまでタブレットの一機能に過ぎず、“紙とペンの代替” になっているとは決して言えない状況。電子ペーパー搭載の電子書籍などの手描きメモ機能もあるが、快適に描けるとはいいがたい。
ところが「Noteslate」のデモは違う。まず2014年1月のデモ動画をみていただろう。
Noteslate - Drawing Demo 01
www.youtube.comパッと見は紙とペンで描いているようにしか見えない。ペン入力と描画にところどころ遅延があるが、さほど違和感がない。タブレットと違って線とペンの距離が近いため細かい表現も自在。
そして下が、今回「Noteslate SHIRO」発売にあたり発表されたデモ動画。なんと日本語を入力している。遅延も若干改善されているように思う。電子ペーパーの描画速度の限界もあるのだろうし、この感じで 描き続けられるのなら合格点をつけられるのではないだろうか。
Noteslate SHIRO - The first pure handwriting device
www.youtube.com機能拡張やスマホ方アプリも
驚いたのは、機能拡張する「Noteslate Warehouse」の提供。機能追加によりゲームやネット連動のコンテンツが利用できるようになるほか、テンプレートなど様々なものが提供されるという。

さらにタブレット端末用のアプリも提供するという。つまるところNoteslate社は、端末を出荷するのみならず、手描きの領域でプラットフォームを構築していきたいということのようだ。

